家のカギ カフェ公演企画

家のカギ

『TICKET』

 

とある犯罪組織が、大きな仕事を終えようとしていた。

メンバーも選りすぐり、計画は万全、のはずだった。

ところが仕事は大失敗。しかも高飛びのために手配したはずだったチケットまで行方が分からないという前代未聞の事態に。

 

動揺する一同だったが

緊急事態に集まる手筈になっていたカフェに1人、また1人と集まり始める。

ヘマは許されない。ボスに知られては示しがつかない。

前代未聞の失態を、どう挽回してボスに報告するのか、その会議をするついでに高飛びのためのチケットを手配し直し、ほとぼりが冷めるまで身をひそめる、そのためのほんの数分の集会だと全員が思っていた。

そんな中、メンバーの1人が言った。

 

「この中に裏切り者がいる」

 

今回の計画失敗は裏切り者によってもたらされたものだと言うのだ。

かくして疑心暗鬼の探り合いが始まる……。

【作・演出】

高村颯志(家のカギ)

 

【出演】

五十嵐恵美 高村颯志(以上、家のカギ)

遠藤清秀 金森悠介 榊原裕能(劇団24区) 戸倉紀乃

TOMOYA 中村健士郎 岩淵こむぎ

 

2020年1日17日(金)〜19日(日)

@コラボカフェ渋谷

 

主宰・高村コメント

 

2020年は家のカギとしては珍しく、年間のざっくりとした公演計画と、方針が決まっている年でした。

サスペンス、ミステリーといった、シリアス寄りのジャンルを、お客様の「体感」を伴った上演形式でやっていこうと決まっていて、その第一弾が、この『TICKET』でした。

 

どんな風に着想したのか、今となっては覚えていないんですが、まず大前提にあったのが、体感できる形式ということ。

この作品は、レンタルカフェの店内全体を使い、アクトスペースと客席を分けたわけではなく、お客様の隣や正面の席に演者がいるような形を取りました。

 

そして、お客様を巻き込む手段として、チケットを持っているか確認される、というギミックを思いつき

そこから、作品全体で「TICKETを紛失した」という軸を作りました。そこから、強盗集団の緊急会議の犯人探し会話劇、という形になりました。

 

演出家として、客席に座って体感をしていないので、これはお客様からの声を頼りにするしかないのですが、皆様とても新鮮にご覧いただいたようで、演者の皆さんも非常にエキサイトして演じてくれました。

 

「近くに座っているキャラクターを応援してしまう」

「一緒に犯人探しをしてしまう」

「思っていた人が犯人じゃなかった!」

「犯人が当たった!」

 

など、臨場感のあるご感想をいただけて、実感も非常に伴う公演になりました。

 

 

 

これを書いている現在(2021年1月)では

このような閉じられた空間の、距離の近い公演をやることは絶望的な社会情勢です。

前述した、2020年に実施予定だった残りの公演も、まだ温めています。いつか、この『TICKET』の再演も含めて、また体感できる公演を実施できる日を、願っています。