早稲田祭2017どらま館企画参加作品

家のカギ⑦

『無免許ごめん』

最初は、悪ふざけくらいの気持ちだった。

いざやるとなった途端急に怖くなってきて、みんなを逃すはずだった僕は、一人で逃げた。そういえば、あの時だってそうだった。僕はいつもこの部屋に退散してくる。

でも、前はあいつがいたっけな。

 

なんとなく、そんな気はしてた。

田舎に逃げ帰ったって言われると聞こえは悪いけど、その通りだと思う。田舎にいたときは、狭い世界の圧迫感に反抗した。上京してからは、無機質な広い世界の息苦しさに反抗した。

逃げ帰った田舎にはなぜか、開放感を感じた。

 

一人で逃げるのは怖かった。

ずっと人に囲まれて生きて来たから。ちょっと困らせるだけでよかったから。難しいことはわからないけど、難しいことはわからないから、羽を伸ばす?みたいな感じ。

いい方向に進んでいくと思ってた。

 

 

ーーー1度逃げ帰ってしまった僕たちは、これからどんな道を歩けばいいんだろうか

 

 

【作・演出】
高村颯志(家のカギ)

 

【出演】
高村颯志(家のカギ)

田代陽太郎(創造工房 in front of.)
小野里茉莉(劇団くるめるシアター)
 

 

2017年11月4日(土)

@早稲田小劇場どらま館

主宰・高村コメント

 

この公演は、当時所属していたサークルの都合で急遽打つことになったものでした。

この時点で10本近く作品を書いていた中で、少人数の作品がないことに気が付いたところからの着想でした。

 

そしてコメディやエンタメ続きだった創作活動の中で、人間ドラマ的な作品を作りたかったため、過ちを犯してしまった若者が引き返せず思い悩む姿を描いた作品になりました。

 

実はこの作品は、僕が大学に入学してサークルの新人訓練中に見た、Mrs.fictionsという劇団のとある短編作品を露骨にオマージュしたものです。もう、なんなら僕が勝手にリメイクしたんじゃないかってくらい、躊躇なく手本にしました。

でもそれで分かったのは、Mrs.fictionsだから面白いんだなということです。

 

でも僕は本当は、こういうジャンルを書きたいという気持ちがずーーっとあります。

 

 

これからも

たまには、コメディじゃないものも書けたらなと思っています。