家のカギ×10°CAFE

短編2本立てカフェ公演企画

家のカギ④⑤

「カギを忘れた日には」

2017年6月30日(金)〜7月2日(日)

@10℃AFE


 うまくいってる奴って、気に食わない。

昔よく集まった喫茶店で、高校の同級生と久々に再会することになった一同。
遅れてくる一人をターゲットに決めて、
悪ふざけの軽いノリでドッキリを仕掛けることに。

「仕掛人ってのは綿密に打ち合わせして息をピッタリ合わせないと」

と議論を重ねる彼らだったが……

【演出】
 高村颯志(家のカギ/劇団てあとろ50’)

【出演】
 丸山怜音(劇団木霊)
 武藤萌香
 安達咲里
 木下まこ(劇団てあとろ50’)
 柏倉肇(劇団木霊)
 高木陽介
 高村颯志(家のカギ/劇団てあとろ50’)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

主宰・高村コメント

 

家のカギの立ち上げ作品である『フラグ』の二世的作品を作ろうというスタート地点から始まった作品でした。

嘘が嘘を呼ぶ会話劇的コメディにする予定で、誰がどんな嘘をついていて、誰と誰がどういう関係なのか、というところから例によって会議をするところから稽古を始めました。

会議、エチュードを繰り返し、僕が台本に起こす予定が、稽古が中盤に差し掛かったところで

 

「これ本番までエチュードでやったほうが面白いんじゃないか…?」

 

と僕が思ってしまったばっかりに、台本は1文字もない作品になってしまいました。

本番はそれはもう楽しかったことを覚えています。

 

カフェの店内を使っての公演であり、二本立てのうちこちらの演目は席の配置を、お借りした店舗の営業中の配置から変えず、あえて色々な方向を向いている客席の真ん中にアクトスペースとしての席を一つ配置しました。

せっかく劇場ではない場所での公演なのだから、

隣の席から聞こえてきた会話が思いもよらずとても面白かった、みたいな感覚をお客様に味わっていただきたいという思いもあったので、役者も実際に生の状態でライブ感を持って演じることはとても意味があったと思います。

 

 

ただ、この作品は非常にウケがよかったにも関わらず台本が存在せず、映像も残っていないため

販売はおろか、再演もなかなか難しい状態なのが玉に瑕です。


 ぜんぶぜんぶ、受け入れるさ

自殺を決意した男は、
ふと見つけた電気の消えている喫茶店に忍び込んだ。
閉店した夜の喫茶店。
ここでなら静かに死ねる、そう思った。
男が首を括ろうか、飛び降りようかと思案する中、突然明るくなる店内。

そこに現れたのは、ちょっとおかしな店員たちだった。

【演出】
五十嵐恵美(家のカギ/劇団てあとろ50’)

【出演】
 高村颯志
 金森悠介
 中山青佳(以上、家のカギ/劇団てあとろ50’)
 柏倉肇
 田尻祥子
 酒井萌々子(以上、劇団木霊)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

主宰・高村コメント

 

このコメントは、上演してから2年後に書いているのですが(ごめんなさい…)

この二本立て公演は家のカギの雰囲気をとてもよく表せていた企画だったように思います。

1本目がエチュードで作ったドタバタコメディ。

そして2本目のこの作品はハートフル系の短編会話劇。

 

頑張れば上手くいくなんてことはないけれど、まぁそんな人生も捨てたもんじゃないよね

 

という大きな下地が、家のカギのハートフル作品には横たわっています。

ハッピーエンドではないかもしれなくとも、解決はしなくても、また一歩進んでみようよ。そんなメッセージを、恥ずかしいからたまにコメディタッチに隠したり、エンタメタッチに隠したりしながら、描いています。

 

僕は考えてしまう癖があるので、こういう作品の主人公は女々しくて優柔不断な人で、そんな主人公の背中を押すのは細かいことには無頓着だけど、だからこそ力強く生きているような、そんな人たちです。

 

 

書いた僕自身も、たまに振り返って力をもらっています。

 

 

 

 

そしてこの作品は家のカギで唯一、脚本と演出の担当をわけています。

挑戦としての試みでしたが、ユニットとしての作品製作力を上げる機会になったと思っています。

演出を頼まれてくれた五十嵐は、僕の創作に必要不可欠な存在です。